はじめに

昨年末、当法人は新たな統合会社を設立し、次なるステージへと歩みを進めました。

役員室、総務部担当として、この大きな転換期に、私たちがこれからの介護福祉を通じてどのような価値を築いていくのか、その指針と私たちが目指す地平について書き留めておきたいと思います。

1. 「老い」を成熟として受け入れる

現代社会では、効率や生産性が重視されるあまり、老いることや誰かの助けが必要になることを、何かが「失われていくこと」のように寂しく捉えてしまう風潮があるかもしれません。しかし、私たちはそうは考えません。

古代ローマの哲学者キケローは、その著書『老年について』で、老いが肉体を弱くするという誤解を解き、むしろ長年培った「叡知(えいち)」を生かすことこそが老年の真髄であると説きました。

私たちは、介護福祉を単に「不自由な方を助ける仕事」と捉えるのではなく、「人生を豊かに成熟させてきた方々の、大切な時間を守り、共に楽しむ仕事」へと昇華させたいと考えています。高齢者の皆様が「生産性」という物差しから解放され、心ゆくまで人生を楽しむ。そんな「成熟の時間を慈しむ場」を、この新体制から形にしていきます。

2. 「あり方」という一生続く尊さ

私たちの理想を実現するためには、現場で働く社員の「心の在り方」が重要です。そこで私たちは、一つの揺るぎない信念を共有しています。それは、「何ができるか(Doing)」ではなく、「どうあるか(Being)」という尊さは一生続くものである、ということです。

「社会の物差しは、どうしても『何ができるか』という機能的な側面で人を測りがちです。しかし、本来、人の尊さとは、そうした外側の条件で左右されるものではないはずです。たとえ手助けが必要になっても、その方の存在そのものが持つ輝きや、歩んできた道のりの尊さが損なわれることは決してありません。

振り返って、当法人が大切にしているのは、組織の中の「心理的安全性」です。たとえ意見が違っても、利用者様の幸せのために率直に話し合える「Agree to disagree(意見が異なるという点において同意する)」の精神を重んじています。社員一人ひとりが「自分らしく(Being)」いられる職場だからこそ、利用者様の「あり方」にも深く寄り添うことができると確信しています。

3. 客観的な視点と、情熱の融合

介護福祉の現場には、事実やデータに基づいて冷静に物事を捉える「理系脳」的な視点と、相手の心情や背景を深く汲み取る「文系脳」的な感性の両方が不可欠です。

新会社としてのスタートにあたり、私たちはこの両輪をより高い次元で融合させ、客観的な分析に基づきながらも、何より「人の心」を真ん中に置いた温もりのあるサービスを追求してまいります。

おわりに

統合という大きな変化は、私たちにとって「原点」を見つめ直す機会でもありました。

利用者様とそのご家族には、これまで以上の「安心と喜び」を。

社員には、自らの仕事に誇りを持てる「場」を。

私たちは、関わるすべての人々にとって「なくてはならない存在」であり続けるために、これからも歩みを止めることはありません。

新しく生まれ変わった私たちの挑戦に、今後とも変わらぬご理解とご支援を賜りますよう、お願い申し上げます。